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日本〈聖女〉論序説 斎宮・女神・中将姫

密通する斎宮たち 苦悩する女神たち
古来、女性に付与されてきた「聖性」を刺激的に読み解く!

継母の嫉妬からいじめにあう中将姫。継子いじめの物語はどうして「女の病」にむすびつき、純潔な聖女となっていくのか。天皇の代がわりごとに伊勢に仕える女性として選ばれる斎宮。未婚の内親王である彼女たちの密通とは。そして三輪明神が女神として描かれる能「三輪」――。さまざまな物語のゆくえをたどり、女性の聖なる力とは何かを考える力作。

これまで女神の嫉妬の様相をいくつかみてきたが、いずれの場合も、嫉妬する方は正妻、嫉妬されるのは正妻の後に契った女性という共通点がある。現代の人間からみるとこれは当たり前のようだが、男1人を挟んで女2人がにらみ合うというのならば、後から関係を持った女がもとからの妻に嫉妬してもいいはずだ。それなのにほとんどすべての例が「嫉妬するのは先妻の方」というのは、その背景に「後妻打ち」という中世の習俗があったからではないだろうか。――<本書より>

※本書は、1996年4月、人文書院より刊行された『聖なる女――斎宮・女神・中将姫』を改題し、原本としたものです。