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失楽園

命削る性愛〔エロス〕の讃歌。 驚異の画期的大作! 『失楽園』の連載を書き終えて、正直な感想は「疲れた」の一語に尽きる。 わたしは今回の小説を書きながら恋をしていたが、それは現実と夢と交錯しながらのもので、くわえて過去の恋や、その折々にきいて感じた音楽や情景なども思い起こし、いわゆる圧倒的な恋愛状態に浸って、書き続けるように努めてきた。 そのことはまた、毎日の構想を練り、原稿を書く段階になるたびに、自らが久木と凛子になりきることで、これほど深く、主人公にのり移って書いたことはなかった。 ともかくいま、わたしは小説が頭や知識でなく、全身で書く格闘技であることを改めて知った。――著者・渡辺淳一