「旅とチベットと僕──あるいはシャンバラ国の実在について」既刊・関連作品一覧
著者、棚瀬氏は若き日にチベットという地域とその地に生きる人びとの姿に魅入られ、文化人類学者の道を歩きはじめました。本書ではその自伝的軌跡と、チベットという地域、そしてチベット仏教を紐帯とする草原の民、遊牧世界の魅力を紹介します。
戦後、日本では忘れ去られてしまい、一般にはあまり知られていないことかもしれませんが、チベットから中央アジア、モンゴルまでは、チベット仏教を通じて深い関係がありました。かつて、清朝時代の内外モンゴルやロシア帝国内のブリヤート、カルムイクといった地域にまでチベット仏教は浸透していた。辛亥革命にともない、ゲルク派の法主ジェプツンダンパ八世(チベット人です)を元首としてモンゴルの独立を宣言したこともあります。しかし、ソ連邦の出現、中華人民共和国の成立とふたつの共産主義国家があわせて百年近く存在しつづけているため、仏教は長い抑圧の時期を迎えることになりました。しかしソ連、中央アジアでは民主化にともなって信教の自由も保障され、いまやゲルのなかにもふたたび仏壇が設けられ、ダライラマ14世の写真が飾られています。いっぽうでチベット本土においては中国政府による苛烈な弾圧が存在することはご承知のとおりです。
著者、棚瀬氏は若き日にチベットという地域とその地に生きる人びとの姿に魅入られ、文化人類学者の道を歩きはじめました。本書ではその自伝的軌跡と、チベットそのものとチベット仏教を紐帯とする遊牧世界の存在と魅力を紹介します。
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