「遍路殺がし」既刊・関連作品一覧

遍路殺がし

突然、釣部渓三郎(つるべけいざぶろう)のもとに切断した足が送りつけられた。送り主は入院中の男性。壊死した足を火葬してくれという。既に手遅れの状態だった男の名は、北多摩署の蟹沢、相馬が担当する強盗殺人事件でも浮上した。釣部の周辺で再び起こる殺人。四国八十八カ所の急峻な遍路道を、釣部の鮮やかな推理が照らし出す!

●著者のことば
わたしは菅笠をかぶり、白衣を着て、輪袈裟(わげさ)をかけ、ずだ袋を肩から下げて、金剛杖を手に、一番礼所の霊山寺から巡拝をはじめた。笠や杖には、同行二人(どうぎょうににん)、と書かれている。四国は、弘法大師の出生の地である。わたしが、お遍路さん姿で歩くと、お年寄りは頭を下げてくれたし、若者は道を開けてくれた。同行二人は、お大師さんと二人連れという意味である。もし犯罪者と二人連れなら、どうなるか。