「笑う禅僧─ 「公案」と悟り」既刊・関連作品一覧

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笑う禅僧─ 「公案」と悟り

本書は、禅の伝統的な修行の場で用いられる問答に使われる問題である「公案」を中心に禅者のエピソードをいくつか取り上げ、臨済禅の世界を紹介するも のです。
 公案にはいろいろな種類があります。修行者を悟りへと導くもの、逆に悟りへの執着を捨てさせるもの、あるいは師匠が修行者の悟境を測り、さらに向上させるべく教導するうえでの法財となるもの、などです。これらの問いに答えていくことによって悟りに接近していくのが臨済禅の特徴です。只管打坐の曹洞禅に比してロゴスが介在する余地が大きいかもしれません。
 公案の多くは、禅僧の言行録のなかに見えるエピソード、あるいは経典の言句などから成り立っています。
 わかりやすい例(?)として「蚯蚓段段孰是眞」という公案があります。「キュウインダンダンイズレカコレシン」と読みます。こんな漢字は見たこともない、どこがわかりやすいのかとご立腹かもしれませが、意味はいたって簡単。ミミズが二つに切られてしまった、さてどちらがほんとうのミミズだ? それだけの問いです。このような問いにどんな意味があるのか、また、そもそも悟りとはいかなる状態をいうのか……本書では実際に20の公案にぶつかり、ともに考えていきます。


【著者紹介】
安永祖堂(やすなが・そどう)
1956年、愛媛県生まれ。花園大学卒業。前天龍寺管長平田精耕老師に就いて参禅。現在、・臨済宗天龍寺派管長の下で修行。現在、天龍寺国際禅堂師家、花園大学教授。専攻は禅学。主な著書に『私が生きて・掴んで・実践したもの』(共著、宗教心理出版)、大阪府松 雲寺住職。著書に『禅 ぜん ZEN』(禅文化研究所)などがある。