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ソシュールを読む

コトバが指す実体はなく、そこには差異しか存在しない。
その差異に意味は生じる――ひらかれてゆくコトバの謎

近代言語学の父、フェルディナン・ド・ソシュール。残された手稿と「一般言語学講義」聴講生のノートから三度の講義内容を復元し、コトバを手がかりに文化や社会の幻想性を解明・告発する、その思想と方法を精緻に読み解く。二〇世紀の諸科学、とりわけ構造主義やポスト構造主義に多大な影響を与えた思想の射程と今日的な可能性が、あざやかに甦る。

そもそもソシュールの文化記号学とは「読み」の営為なのである。そこで読まれるものは自己完結的な作品ではなくテクストであり、或るテクストを読むことが、既成の思考形式を批判し、これをバネとして変形的実践を行いながらもう一つのテクストを生産するという意味でのエピステモロジーでもある。ソシュールにあっては、「読むこと」と「書くこと」と「生きること」との間には柵がない。――<本書「あとがき」より>

※本書の原本は、1983年6月、岩波書店より刊行されました。