乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選

講談社文芸文庫
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乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選
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内容紹介

戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。

目次

  • 乳母車
  • 雪景スナップ
  • 自活の道
  • 女の道
  • 墓地のあたり
  • 林檎の花咲くころ
  • 草を刈る娘
  • 無銭旅行の巻(抜粋)
  • 最後の女

製品情報

製品名 乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選
著者名 著:石坂 洋次郎 編:三浦 雅士
発売日 2020年01月12日
価格 定価 : 本体1,900円(税別)
ISBN 978-4-06-518602-2
判型 A6
ページ数 288ページ
シリーズ 講談社文芸文庫
初出 本書収録9編のうち「乳母車」「雪景スナップ」「自活の道」「女の道」「墓地のあたり」「林檎の花咲くころ」「草を刈る娘」の7編は『石坂洋次郎短編全集』全3巻(講談社刊、1972年)、「無銭旅行の巻」は『石坂洋次郎集山のかなたに 石中先生行状記』(現代長篇名作全集 11、大日本雄弁会講談社刊、1953年)、「最後の女」は『ある日わたしは 若い川の流れ』(石坂洋次郎文庫 12、新潮社刊、1966年)を底本としました。

著者紹介

著:石坂 洋次郎(イシザカ ヨウジロウ)

石坂洋次郎(いしざか・ようじろう)
1900年、弘前市生まれ。旧制弘前中学校(現・青森県立弘前高等学校)から慶応義塾大学に進学。国文科を卒業後、旧制弘前高等女学校(現・青森県立弘前中央高等学校)に勤務。秋田県の旧制横手中学校(現・秋田県立横手高等学校)勤務時代に『若い人』(33年)『麦死なず』(36年)を発表し、作家としての地位を確立し専業作家となる。戦後は『青い山脈』(47年)が単行本・映画ともにブームとなるほど大ヒットを記録。「百万人の作家」と呼ばれ、流行作家に位置づけられ、作品の多くは映画化された。66年に菊池寛賞受賞。86年に静岡県伊東市の自宅で没。代表作は『石中先生行状記』『陽のあたる坂道』『あいつと私』など多数。

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