内容紹介
天野三哲は、江戸・神田三河町で開業している小児医。「面倒臭ぇ」が口癖で、朝寝坊する、患者を選り好みする、面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう、近所でも有名な藪医者だ。ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくるように。三哲の娘・おゆん、弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さん、男前の薬種商・佐吉など、周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂はスッタモンダの大騒ぎに!
三哲の前には、嫁姑の不仲で命を落としかける赤子や、関係が密着し過ぎた母娘らが次々現れる。人情味あふれる長屋の住人たちも、時として他人にはうかがい知れぬ人生の暗部をさらす。正と邪、善と悪を同時に抱えているのが人間。
「人は真っすぐ善に向かって成長するわけではないし、悪は強さの裏打ちかもしれない。常にふらここ(=ブランコ)のように不安定な状態で、私たちは奇跡的にバランスを取って生きている」(著者)
とらえどころがないリアルな人間の暮らしぶりを季節感豊かに、人情たっぷりに描いた傑作時代小説。
目次
- 一 藪医 ふらここ堂
- 二 ちちん、ぷいぷい
- 三 駄々丸
- 四 朝星夜星
- 五 果て果て
- 六 笑壺
- 七 赤小豆
- 八 御乳持
- 九 仄仄明け
- 解説 久坂部 羊
製品情報
製品名 | 藪医 ふらここ堂 |
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著者名 | 著:朝井 まかて |
発売日 | 2017年11月15日 |
価格 | 定価 : 本体780円(税別) |
ISBN | 978-4-06-293790-0 |
判型 | A6 |
ページ数 | 432ページ |
シリーズ | 講談社文庫 |
初出 | 本書は2015年8月に小社より単行本として刊行されました。 |