“文章添削の鬼”が明快に説く、基本からの文章上達法!
用字用語の使い方から構成まで、役に立つヒントを満載。
●「魚」と「さかな」の違いは何か
●言い換えの語を多く覚える
●慣用句は出典を確かめてから使う
●助詞の乱用で文章を引っ張るな
●四字熟語は数多く覚えなくてもよい
●言葉の重複は見苦しいので気を配る
●書き出しの一行で勝負は決まる
●修飾語と接続詞はほとんど要らない
●人物を描くときは七つ褒めて三つけなせ
●たとえ話を入れて分かりやすくする
ほかの人が書かないことを書く――
テーマは「旅」である。多くの受講生はぶっつけで原稿用紙に向かって書き始めるせいか、「旅」の解説をあげつらうので、失敗していた。
「旅というのは日常からの逃避である」とか、「旅と旅行は違う。俳人芭蕉のように目的地も日程も決めないで、1人か2人でぶらりと出かけるのが旅であり、団体ツアーなどは旅行でしかない」とか書く受講生が多かった。
旅の定義から述べられ始められると、読むほうはもううんざりするにちがいない。わたしは次の合評のとき、こう注意してきた。
「ほかの人が書かないことを述べるのが真の文章である。人間は顔形が異なるように体験も違う。他人と同じことを書いていたらだれも読んでくれないに決まっている。具体的にはどうすればよいのか」
ここまで言って更に続ける。
「ともかく体験を書きなさい。抽象的なことをいくら述べても読む人は感銘しない。ちょっと考えてごらんなさい。(中略)いろいろ書くことがあるはずでしょう。抽象的なテーマを与えられたらまず、“わたし”という主語を用いて執筆メモを作れば、何かを具体的に書けるようになるものです」――(本書より)
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