戦後新世代の魅力的作家群
近代文学でもっとも人気も実力もある「第三の新人」。
その魅力的短篇選。
第三の新人、と称された戦後新世代の作家達は、のちに、文壇の中心的存在となっていく。十人十作品を精選。阿川弘之「年年歳歳」、遠藤周作「アデンまで」、小沼丹「白孔雀のいるホテル」、近藤啓太郎「海人舟」、小島信夫「アメリカン・スクール」、島尾敏雄「湾内の入江で」、庄野潤三「プールサイド小景」、三浦朱門「冥府山水図」、安岡章太郎「ガラスの靴」、吉行淳之介「驟雨」収録。
富岡幸一郎
読者は本書の各作品を通読すれば納得されるだろうが、ここには今日でも(いや、むしろ現在の地平においてこそ)、まさに「新しい」と驚嘆させずにはおかない文学の瑞々しい魅力が溢れているからだ。一個一個の短編は、当然のことながらその主題も内容、個性も全く異にする。しかし、作品の言葉の奥底に降りていくと、ある共通する普遍的ともいえる感性の層に突き当る。――<「解説」より>
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