戦後日本の音楽批評をリードしてきた吉田秀和は、青春期に吉田一穂に私淑、中原中也との交遊や小林秀雄の影響を通してポエジーの精髄に触れた。音楽はもとより、文学や美術を論じた著作によって、豊饒なる批評精神を構築してきた著者が、幼児期から詩との出会いまでを綴り、その批評の原点を明かす表題作をはじめ珠玉の随想12篇を収録。巻末の荷風論は、日本近代の宿命を巡る鋭い洞察に満ちた文明論である。
青春期の中原中也や小林秀雄との邂逅。
クレーの絵の謎解き。音楽へのめざめ。
多彩な芸術随想12篇。
戦後日本の音楽批評をリードしてきた吉田秀和は、青春期に吉田一穂に私淑、中原中也との交遊や小林秀雄の影響を通してポエジーの精髄に触れた。音楽はもとより、文学や美術を論じた著作によって、豊饒なる批評精神を構築してきた著者が、幼児期から詩との出会いまでを綴り、その批評の原点を明かす表題作をはじめ珠玉の随想12篇を収録。巻末の荷風論は、日本近代の宿命を巡る鋭い洞察に満ちた文明論である。
大久保喬樹
戦前の東京下町ですごした子供の頃まだ明けやらぬ床の中で聞いた櫓太鼓の音から始まって、戦後欧米各地で接した前衛音楽まで、さまざまな音、また、さまざまな色や形、言葉や暮らしを吉田さんは経験し、それら経験の意味を考え、そうした作業を積み重ねてひとつの精神の秩序を築きあげていった。それが吉田さんにとっての批評ということだった。――<「解説」より>
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