秀吉・家康の対明・対朝鮮外交を軸にした、キリスト教諸国への対抗策――ここから徳川幕府の鎖国への傾斜が始まる。『明史』『懲ひ録』『徳川実紀』などの文献を読みこみ、家光が鎖国令を出すに至るまでの為政者たちの心理を大胆にあぶり出す。17世紀初頭の複雑な東アジア情勢のなかで、鎖国の実相を鮮やかな切り口で描く力作。