この世界の危機を救うのは、恋する馬型ロボット――。
世界初! 馬型巨大ロボット一人称恋愛小説
突然、背中に重みを感じた。ついで、腹をぐいと押される感触。僕は少し前のめりにされる。馬術における基本動作、前進気勢。彼女が、異界に半潜航している僕のコクピットに乗り込んだのだ。僕のコクピットは、本来不定形。彼女が僕をどう操作するかのイメージが、その形を決める。彼女のイメージは、馬だった。
「不思議……。本当に馬みたい……」
「君の手綱捌きで戦況を変えられるかもしれん」
「私の」
馬型ロボット、タシュンケ・ウィトコは、二十年前に暴走して以来、化石化して首府大学理工学部異界科学研究室の敷地内で眠っていた。一方、ある年の春、異界研は五人の新人を迎えた。その中の一人・貴志範子に語り手の「僕」は一目惚れしてしまう。そんなとき、十年ぶりに異界から戻った天才女性研究者・長木を追ってきた人型ロボットが首府大を襲う。その襲撃から、「僕」は範子を守って戦うが……。
「彼氏はどうにも戦い方がなってない。君がなんとかしてやれ」
「……はい」
僕は戦う。愛する女性(キミ)に操られて。
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