認知症のおばあさんとの交流を感動的に描く
公園で出会ったおばあさんは、ぼくたちを、亡くなった息子と間違えているようだった。お別れの日、ぼくたちはおばあさんの背中に「かあちゃん!」と叫んだ……。
・文/西本鶏介さんからのメッセージ
子どもが、老人に教えられ、守られるだけでなく、老人を助け、心の支えとなるような存在に成長する。現代の社会には、こういうことが必要だと思います。ただ、これを子どもに対してお説教してはだめですね。そんなのでは人を動かすことはできません。
『よかったなあ、かあちゃん』では、三人の男の子たちが認知症のおばあさんに出会い、誰かに強制されるのではなく、自らおばあさんの気持ちを考えることで、ラストの「かあちゃん!」という叫びが出てくる。この、自然に叫んでしまった気持ちって 一体何だろう。この子たちはこのあと一体どうするんだろう。それは、読者である子どもたちが、自分自身で考えて気付いてほしい。それが大事だと思います。(談)
・担当者のうちあけ話
西本鶏介さんに原稿をいただき、最初に読んだとき、涙が出そうになりました。
伊藤秀男さんに絵を描いていただき、絵と文を合わせて読むと、ほんとに涙が出てしまいました。
感動しながらも、冷静に分析すると、これは「絵本」として成功している、ということかもしれません。
私が涙を流したのは、男の子たちがおばあさんに向かって「かあちゃん!」と叫ぶ場面です。
派手ではありません。でも、ぜひとも読んでもらいたい絵本です。(若)
【読みきかせ:5歳から ひとり読み:小学低学年から おじいちゃん、おばあちゃん/感動】
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