パリの植物園で、植物学者と少女が出会う。
少女は植物の面白さに目覚め、心に何かが芽生えたことを感じる。
雄大な植物に囲まれた、小さいけれど感動的な出会い──。
・作/いせひでこさんからのメッセージ
パリには2本の樹齢400年のアカシアがある。その一本の大樹のある物語はすでに描いた。もう一本の樹ははじめから植物園で大切にされ、樹齢を重ねていた。私の足が、植物園に向かうようになったのは自然のなりゆきだった。
パリの大きな植物園を訪ねては、目が追いつかないほど、四季折々の樹や花や芽を観察することになった。そんな春のこと、私は自宅裏庭のちっちゃな一角に、生まれて初めてひまわりのタネを蒔いた。朝、昼、夕、毎日芽が出ていないかと庭の土におでこを這わせる姿は、まるでチャペックのにわか『園芸家の一年』みたいだった。(あとがきより抜粋)
・担当者のうちあけ話
カバーや帯の惹句を考えるのはふつう編集者の仕事ですが、この絵本ほど、それが難しいと感じたことはありませんでした。とにかく何を書いても、作品を表現するには物足りない言葉のように感じてしまうのです。
それは、いせひでこという画家が、歩いて、見て、聞いて、嗅いで、触れて、感じて、そして何度も何度も考えたこと、それを筆だけでなく、全身で表現しているからだと思います。
『大きな木のような人』は、独立したひとつの作品ですが、そんな作者ですから、これまで描いてきた作品と深いつながりが生じるのは必然です。『ルリユールおじさん』(理論社)の少女ソフィーが大きくなって、植物学の研究者として登場しているのを見て、私はゾクッとしました。(若)
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