戦争という魔性 歴史が暗転するとき
2022年のロシアによるウクライナ侵攻、2023年のイスラエルのパレスチナ侵攻、そして中国と台湾の緊張関係の深まりなど、世界はいたるところで激しい対立が生まれ、それ以外の地域においても一触即発の緊張が生まれている。
「明治維新から太平洋戦争敗戦まで77年、敗戦から2022年まで77年。いまは歴史の分岐点にあるように思える」
2022年刊行された『歴史が暗転するとき』(発行:日刊現代 発売:講談社)の中で、本書の著者である保阪正康氏はそう述べているが、そうした状況を見れば、まさに予見通りといっていい。敗戦後79年の間、新憲法下の日本は少なくとも戦争の当事者になることはなかった。しかしながら、さまざまな地域で紛争の火種が絶えない現在の世界情勢、国内に目を向ければ、自公政権主導の前のめりとも思える防衛政策、さらには国民の意識の変化などから、日本の「新しい戦前」を危惧する声も少なくない。
「戦争はいかにしてはじまり、いかなる結果を招くのか」
本書において、日本の近現代史研究の第一人者である著者は「戦争の真実」を、生の証言、埋もれた資料から抉り出す。戦闘員、民間人を含め数百万人ともいわれる日本人犠牲者はもとより、全世界で数千万人の犠牲者を出し、さまざまな国家に壊滅的な被害をもたらした“先の大戦”。この“先の大戦”を“先の先の大戦”にしないことを願う読者にとって、必読の書である。
-主な内容-
【第1章】 「日米開戦」への道 いつ?誰が?―――なぜ日本は無謀な選択に至ったのか
【第2章】 戦争の真の姿 軍国主義国家の指導者たちの迷走と暴走、そして国民の悲劇
【第3章】 いかにして戦争は終結に至ったのか? そのとき、天皇、指導者たちはこう動いた
【第4章】 「平民新聞」は時代をどう伝えたか
【第5章】 テロリズムの台頭と戦争 歴史を暗転させてきた暴力主義とその系譜
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