イスラーム財産法の成立と変容
本書の主たる目的は、スンナ派イスラーム実定法(fiqh)、とくに財産法の中で、従来の研究によって満足な説明を与えられてこなかったり、研究者の間で議論の的になっている規定を、ヒジュラ暦二世紀・西暦八世紀から三・九世紀初めの学派成立期あるいはそれ以前に溯って説明することである。
【目次】
序論
第一章 シャリーアとフィクフの概念と学派の成立
第二章 所有権の構造
第一節 アインとマンファア 第二節 果実の概念 第三節 使用価値の法的性質 第四節 補足
第一部 契約の効力
第一章 総論
第一節 効力から見た契約の分類 第二節 契約の取消と解除
第二章 不成立の契約
第一節 定義と法律効果 第二節 マーリク派における無効の概念 第三節 当事者の能力 第四節 目的物の適格性 第五節 引渡が完了していない物の転売
第三章 無効な契約
第一節 総説 第二節 リバー 第三項 メディナ学説 食料の交換 第三節 射倖性 第四節 無効な約款マーリク派を中心として 第五節 強迫 第六節 シャーフィイーにおける無効の概念 第七節 公益に反する契約
第四章 効力未定の契約
第五章 有効だが拘束力のない契約
第一節 詐欺 総説 第二節 売買契約における詐欺による取消と瑕疵選択権 第三節 売買以外の契約における詐欺
第四節 詐欺を含む特別な売買
第二部 民事責任
第一章 総論
第一節 ダマーンの意義 第二節 ダマーンの負担の基準の概要
第二章 加害行為
第一節 直接損害と間接損害の理論 総説 第二節 ハナフィー派の理論 第三節 マーリク派の理論
第三章 責任占有
第一節 総説 第二節 侵奪 第三節 特定物売買における危険負担
第四章 預託占有
第一節 総説 第二節 踰越と懈怠 第三節 各法律行為における責任
第五章 害の法理
第三部 法制度各論
第一章 有償解放契約
第一節 有償解放契約とパラモネー契約 第二節 マーリク派 第三節 ハナフィー派 第四節 シャーフィイー派
第五節 有償解放契約の社会的意義
第二章 遺留分制度 「死の病」
第一節 総説 第二節 死の病制度の起源と展開 第三節 死の病制度における主観的要素 第四節 シャーフィイーの理論 第五節 結論
第三章 信頼売買
第一節 制度の趣旨をめぐる従来の学説 第二節 ムラーバハ売買 第三節 タウリヤ売買
第四章 マーリク派における賃約の解約
第一節 履行不能 第二節 使用価値の移転と賃約の解約と対価の支払 第三節 合意解約に対する制限
基本的語彙の説明
人名一覧
文献目録
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