芭蕉全発句
国文学に通暁し、実作と研究双方のよき理解者たる文芸評論家が、渾身の情熱を注いで正面から俳聖に挑む。全句の訓詁注釈を通して実景、実感、伝記的事実、言葉の意味、詩性――芭蕉の世界に迫り、「軽み」論から「いのち」と「かたち」へ、日本人の魂に根ざす文学的本質へと読者を誘う。今日の俳句・短歌隆盛の礎となった不朽の一冊。(解説・尾形 仂)
言葉の美、深長な意味、軽み――
俳句の伝統と革新はここに創まる
国文学に通暁し、実作と研究双方のよき理解者たる文芸評論家が、渾身の情熱を注いで正面から俳聖に挑む。全句の訓詁注釈を通して実景、実感、伝記的事実、言葉の意味、詩性――芭蕉の世界に迫り、「軽み」論から「いのち」と「かたち」へ、日本人の魂に根ざす文学的本質へと読者を誘う。今日の俳句・短歌隆盛の礎となった不朽の一冊。(解説・尾形 仂)
定型詩のよき理解者が俳聖の全句を解き明かす
私は大学の講座で、師匠釈迢空(ちょうくう)から、原典の一字一句を如何に深く訓まなければならないかを学んだ。私は低声にささやかれるような訓詁の著述に、中世の倭学者たちや近世の国学者たちの、古典への没頭の中に貫いた耿々(こうこう)の志を見るのである。及ばずながら私も、彼等の志したあとを歩もうとする者に過ぎない。――<本書「まえがき」より>
※本書の原本は1974年、河出書房新社より『芭蕉全發句』上下巻として刊行されました。なお、講談社学術文庫収録にあたっては、1983年に小社より刊行された『山本健吉全集 第六巻』を底本としました。
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