本居宣長
漢意(からごころ)を否定し、われわれは現に日本人を支えてきた秩序によって生きるしかないという神道論を展開。文芸においては物のあわれを主張した宣長。その思想を追うことは、今日のわれわれ自身を知り、未来に生かすべきものと、同時に克服すべきものも見出すことだと著者はいう。日本思想史に決定的な影響を与えた宣長の本質を鮮やかに浮き彫りにした名著。(講談社学術文庫)
物のあわれ論と神道論をつらぬくものとは?
「悲しみ」をうけとめること そこに「安心」がある
宣長に「せむかたなし」の思想を読みとり、日本思想史研究の画期をなした名著!
漢意(からごころ)を否定し、われわれは現に日本人を支えてきた秩序によって生きるしかないという神道論を展開。文芸においては物のあわれを主張した宣長。その思想を追うことは、今日のわれわれ自身を知り、未来に生かすべきものと、同時に克服すべきものも見出すことだと著者はいう。日本思想史に決定的な影響を与えた宣長の本質を鮮やかに浮き彫りにした名著。
宣長は一方において物のあわれを説いた。それは、例えば悲しむべきことを悲しむことであった。他方において宣長は、よきもあしきも、すべては神のしわざであるとし、そのようにうけとめるところに安心があるといった。本居宣長を理解しようとするものは、どうしてもこの物のあわれ論と神道論とのつながり、重なりを問わないではおられない。――<本書より>
※本書の原本は、1978年、東京大学出版会より刊行されました。
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