阿修羅

著:玄侑 宗久
定価:692円(本体629円)

知彦の妻、実佐子に明らかな異変が現れたのはハワイの旅先であった。夫にもまったく知らない顔を見せる実佐子。急遽旅先に診療にむかった主治医杉本は、ついに解離の症状が本格的に現れたと診断する。自由奔放な知美、落ち着いた情緒の絵里・・・・異なる性格が現れる解離性同一性障害(DID)という、現代を象徴する難しい病理に切り込み、トラウマや記憶の奥から浮かびあがる心の闇に光を当てる意欲作。


妻は三つの「わたし」を生きていた。
交叉する三つの人格に対峙する、夫と医師。
それぞれの「わたし」という物語はいかに紡がれ、いかに統合されていくのか?
幾つもの人格が解離し、しかも同居する精神―日本でも増えつつある「解離性同一性障害」という心の病いをテーマに挑んだ、僧侶にして芥川賞作家の最高傑作小説。
記憶と意識、情念と無意識の狭間を行き交う人間の心の不思議に、文学は救いの手を差し伸べられるのか?
「この病気の方に実際にお会いした印象は今でも忘れられない。そして、知れば知るほど、あまりに文学的な病いであることに驚嘆した。無意識に『わたし』の都合でまとめられる人格と、そこからはみだし解離していく『わたし』たちの物語を、私は何年かかっても書きたいと思った。現代は解離の時代である」 ―玄侑宗久
「阿修羅像を多重人格として読み替える美しくも大胆な試み。小説家の想像力がまたひとつ『解離』の扉を開けた」 ―斎藤環(精神科医)

阿修羅

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