禅 沈黙と饒舌の仏教史
禅はどのように言葉と対峙してきたのか。仏教史から読み解く、「語り得ぬもの」の伝承。
ブッダは、真理は言語表現できないという。しかし、仏教は万巻の書にその教えをとどめてきた。
禅宗は、教学仏教に抗して生まれた。しかし、禅語は独特で難解、禅問答は不条理、「不立文字」という言葉はそれ自体が矛盾である。
禅は、語り得ぬものにどう向き合い、何を伝えてきたのか。
ブッダの教えが禅宗へと至り、さらに日本で発展するまで。
禅とは何か、仏教史から問い直す。
【目次】
序章 「不立文字」という言葉
第一章 禅の歴史――言葉をめぐって
1 禅宗の成立
2 良く生きよ――ブッダの教え
3 分断と統合――アショーカ王の登場
4 客観的仏教学の誕生――アビダルマ
5 大乗仏教の始まり
第二章 大乗経典概説
1 新しい仏教
2 般若経典――破壊と総合
3 華厳経典――言葉の饗宴
4 法華経――傑作文学
5 浄土経典――弥陀の誓願不思議に
6 後期大乗経典――最後の教え
第三章 大乗の学者たち
1 「空」の効用――龍樹
2 「唯識」の思想――弥勒・無著・世親
3 翻訳と解釈――羅什・玄奘
4 新たな時代――実践仏教の鼓動
第三章 沈黙と饒舌
1 沈黙の人
2 饒舌な禅(1) 禅の新風・道元
3 饒舌な禅(2) 日本臨済禅の創成・白隠
4 饒舌な禅(3) 思索者の蹉跌・大拙
終章 型の文化――伝承と言葉
1 個と集団
2 型の文化

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