近世日本国民史 明治三傑 西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允
大久保利通、参朝の途次紀尾井坂にて凶刃に斃る。時に明治十一年五月、木戸孝允病死後一ヶ年、西郷隆盛自刃より八ヵ月、共に手を携えて維新回天を成就したる後袂を分って朝野に分離し、互いに死闘を演じたる三人、年を隔てずして逝く。絶大の大史筆ここに至って明治の重大事件の綱領を口述せんと期すも既に齢に余裕なく多く三傑の回想感慨に耽ける状、恰も沖天の火炎燃えつくしてなお余燼を存するに似て、通史の興味まさに津々。
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