幸せすぎるおんなたち
とりたてて特色のない雪国・X県。地産地消の食物、整った子育て環境、健康長寿。X県を彩る言葉は女たちを縛り付けて離さない。三十歳の蒼子は、代々X県に土地を持つ家の一人娘。夫と二人きりで、穏やかに暮らしていた。彼女が自分の姿を重ねるのは、隣家を守り続けてきた番犬トウマ。蒼子はまだ知らない。彼女を取り巻く悪意が、幸せの裏で膨れあがっていることを。X県で暮らす女性の、幸せの歪みを描く連作小説。
夫と二人で暮らしながら、虐げられる隣家の老犬トウマに想いを馳せる三十歳の蒼子。
県が主催するお見合いパーティーでX県の男性と知り合い、嫁いだ絵里花。
「遊んでいる」と後ろ指を指されることに苛立ちながらハンドルを握る専業主婦の穂菜美。
正社員として働くため結婚三年目にしてIターンを決意した紫陽子。
行方不明の幼なじみを訪ねて、妊婦の身で夫の単身赴任先に同行した心葉。
「住んで良かった」「持ち家率」「子育て環境」「女性の働きやすさ」「健康長寿」全ランキングで燦然とトップに輝くX県。しかし、そこに暮らす女性たちは、ひたひたと闇に呑み込まれていく。一体なぜ? 怖いけれど止められない、女性の胸打つ悲しき連作ホラー小説。
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