「一所懸命」既刊・関連作品一覧

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一所懸命

まずはあったかい飯をたらふく食う。守り、生き抜き、生き残る。
『難儀でござる』の著者が描く 戦国の世を静かに暮らすために戦った人々の姿。

<収録作品>
●「一所懸命」
「わしは生き残るぞ。そして、土と百姓を相手に静かに暮らしていきたい」――それだけが右京亮の望みだった。小説現代新人賞受賞作。
●「渡れない川」
葦の茂みの中で、兵は孤立していた。なんでこんなところにいるのや。七郎は、落ち込んで行く気持ちをもてあましていた。
●「魚棚小町の婿」
また合戦が始まる。荷運び人足3人をだせとの下知が届いた。役のオトナ・仁右衛門には頭が痛い毎日が続く。
●「八風越え」
田仕事がようやく終わった又二郎と五郎三郎は、一生、納屋暮らし、部屋住みの身からはい上がるため、一か八か、戦火をかいくぐっての商売を思いついた。
●「わからんやつ」
とても有徳人の住むところではない町場の、となりに越してきたのは、烏帽子をつけた中年男と、市女笠の女房らしい女。ふたりの子供も上等の小袖を着ていた。しかも、先の中納言などと言っている……。
●「一陽来復」
一族郎党を負け戦に導くわけにはいかない。だから、右京亮は斎藤義龍に味方した。それ以来、家の中の空気は、あきらかに別のものになっていた。