「あの子を助けられるのは、あなたしかいないんです」--性犯罪や、余命の告知。男女のつらい過去を、時を遡って変える力をもつ娼婦のなぎさ。--フリーライターの章は、偶然目にしたアダルトビデオに、自分の娘の姿を見つける。「市ノ瀬麗」の芸名で活動していたその女優が、引退後自殺したと聞いた章は、悲しみの中、伝説の娼婦、なぎさに出逢い……。
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年に『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。小説作品に『流星ワゴン』『愛妻日記』『カシオペアの丘で』『赤ヘル1975』など多数。