九七九年神無月(かんなづき)、晩秋の風が吹きすさぶ雅(みやび)な季節だとい うのに、諾子はまたまた頭を抱えていた。本当は猫又という立派な妖(あやかし)で ある飼い猫の綾(あや)経由で、子どもの幽霊から頼み事をされたのだ。曰(いわ) く『お母さんに会いたい』。 毎夜枕元でしくしく泣く子どもの哀れさにほだされ、諾子はこっそり家を抜け出て 探しにいくことに。 が、それが則光(のりみつ)や藤原家(ふじわらけ)の御曹司(おんぞうし)にば れたものだからもう大変! 平安らぶこめ、大騒動の始まり~。
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