カンガルーのマーチ

父親と暮らしていた中学二年生の川上鈴子が家庭の事情で、別れていた母親と祖母がいる加萌町へ引っ越してくる。田舎の濃密な人間関係や新しい家族関係に戸惑う鈴子は、ある珍事件を機に、農閑期の高齢者の生きがい作りのため、マーチングバンドの結成にかかわることになる。思いがけない出来事が起き、鈴子は生と死、老いの問題などに直面する中で、地域住民と心を通わせていく――。


震災をまたぎ「河北新報」連載の人気小説がリクエストに応えて文庫化！
東北の復興を予感させる町おこし小説

「マーツングバンド、やんねが？」
宮城のじい様の鼓笛隊（マーチングバンド）が再生の町を行進する。

父の恋愛のために別れた母と、宮城のはずれの加萌（かも）町に住むことになった中学三年生の鈴子。カンガルーの生息情報も伝えられるほどの過疎の町で孤独に悩む少女は、町のマーチングバンド結成にひと役買うことになった。ところがそのメンバーたるや大変な顔ぶれなのであった。笑いと涙保証の文庫オリジナル。

イラスト・いがらしみきお

※この作品は、2011年1月より9月まで、東日本大震災の影響による中断を経て、河北新報夕刊に連載されたものに加筆訂正しました。