泣いてもいいのだろうか、彼の前では弱い自分をさらけだしてもかまわないのだろうか。「俺の前では強がるな」裕也(ひろや)はそう言うと、正人(まさと)の小さな頭を己の肩口へと引き寄せて、「泣けよ」と囁いた。正人は裕也の言葉通りに瞳を閉じると涙を流した。瞼の裏に幾千億の星を見ながら……。 ……教え子の自殺にショックを受け、北海道へやってきた正人。雄大な自然と愛する人に巡り合い、頑(かたく)なだった心をほどいてゆく……。