このあとの丹野(たんの)の台詞は、聞いてはいけないような気がした。聞いたら最後、もう2度と幸せにはなれないような予感がする。静流(しずる)は無意識に耳をふさごうとしたが、無情にも間に合わなかった。「静流くんの父親は、国塚(くにづか)じゃないか」その瞬間静流の周りからすべてが消えた。……愛していたのだ。血のつながりがあると知った今でも、まだ国塚を愛している。なんて、なんて罪深い……!