戦前日本の航空産業を支えた技術者たちのエンジン・機体開発の苦闘、そして迎えた敗戦直後の疾風怒涛の日々を描ききる 航空技術者たちが心に期した「逆転の炎」 あらゆる産業が立ち遅れていた戦前の日本にあって航空機は数少ないハイテク産業としてその頂点に立ち、規模においても従事者数が100万人におよぶほどに突出していた。その航空技術は、戦後、他産業にさまざまな波及効果をおよぼし、現在の経済的繁栄の基盤を形づくったといっても過言ではないだろう。 その重要性は誰しも認めるところだが、敗戦時にほとんどの資料が焼却され、実証的にとらえることがむずかしいため、体系だっては記録されていない。これを明らかにするには、当時の関係者を一人一人訪ね歩き、話を聞いて、それらをつなぎ合わせていくしかなかった。