束の間の幻影に生を賭した銅版画の詩人
銅版画、その白と黒のドラマ。極限の美の世界に魅せられ、人生の懐疑と憂鬱を刻み込んだひとりの芸術家。――現代銅版画の輝かしい旗手として、戦後日本の芸術・文学の分野で先駆的役割を果した駒井哲郎。本書には、創造の秘密にふれる芸術論、ルドン、クレー、ミロ、長谷川潔ら敬愛する画家たちへのオマージュを中心に、冷静な眼と深い思索に支えられた、静謐でポエジー溢れる随筆を収める。
粟津則雄
駒井さんにとって、白と黒は、さまざまな色彩のなかのひとつではなかった。「すべての色彩の極限」であった。しかもこの「極限」は、純化の極であるばかりではない。多様にして豊饒な可能性をはらんだものだった。――<「解説」より>
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