鏡花から夢二まで子どもへの愛に溢れた珠玉の童話16篇!
明治・大正期、近代文学の黎明と共に子どもの文学にも一大変革が起きた。親から子に語られる昔話や外国童話の翻案に代わり、紅葉・鏡花等錚々たる文豪達が競って筆を執り、子どもへの愛に溢れた香気高い童話が数多く生み出された。日本の童話の嚆矢とされる巌谷小波「こがね丸」始め、押川春浪、与謝野晶子、菊池寛、芥川龍之介、有島武郎、島崎藤村、佐藤春夫、竹久夢二等15名の珠玉の童話を精選。
神宮輝夫
大正期に子どもの文学の総称となった「童話」は間口の広い文学形式と言える。(中略)ひろげればそのまま優れた小説になるのだが、それを小さなまとまりのある世界にとどめているところに「童話」の意味がある。それは、逃避的な桃源郷幻想ではなく、人間と社会についての強固な理想をこめた文学であって、子どもの文学発達の一時期のものではなく、今もなくてはならない領域である。――<「解説」より>
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