一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(本文より)樋口一葉の研究に没頭して伝記・評論を書き続け、全集の実務にも携わった作家・和田芳恵が、一葉16歳から死に到る25歳までの日記を、鋭い洞察力で丹念に分析。一葉文学の本質を描出し評伝文学の白眉といわれた。著者畢生の仕事である一葉研究の集大成。日本芸術院賞受賞。
近代日本の夜明けに生きた<一葉の生涯>
一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(本文より)樋口一葉の研究に没頭して伝記・評論を書き続け、全集の実務にも携わった作家・和田芳恵が、一葉16歳から死に到る25歳までの日記を、鋭い洞察力で丹念に分析。一葉文学の本質を描出し評伝文学の白眉といわれた。著者畢生の仕事である一葉研究の集大成。日本芸術院賞受賞。
松坂俊夫
それはとりもなおさず一葉の日記を、日記文学――実在の人物の登場する私小説と考えていることである。(略)『一葉の日記』はこうした著者の考えを起点とも原点ともしながら、著者というよりもひとりの作家の、一字一句をもゆるがせにしない、みずからの存在を賭けた読みの成果である。著者が一葉の日記を読むことは、自己の作家としての存在を確認することであり、それは自己の作品を読むにもひとしかった。――<「解説」より>
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