奈良へと出郷していく少年期の回想とともに、家族、故郷への想いを謳った読売文学賞受賞作「妙高の秋」、奈良の美術出版社・飛鳥園を舞台に、美しき出会いと別れを綴る「奈良登大路町」、戦時下、師・志賀直哉、瀧井孝作との愛情溢れる交流を描いた「焦土」など、寡作で知られる作家の珠玉の8作品を収録。端正な文体で創り出される純度の高い抒情的世界の魅力を凝縮した名作集。