パリの街並、ギリシアの光。 旅から生まれた初期作11篇 辻邦生のパリ留学時代は、自らの小説の根拠をさぐる旅の日々であった。家々の向うの丘に現れたパルテノンに、永遠の精神の結晶を発見した恍惚を語る「ある告別」、夕景に浮かぶ街並に、高貴なる秩序への意志を感取する「西欧の光の下」等、この期の旅に材をとった作品を中心に11篇収録。西欧の風光から啓示を受けて出発した辻文学の誕生の秘密を明かす初期作品集。