文豪の知られざる実像に出会う驚き 【日本エッセイスト・クラブ賞】受賞作 京都で生まれ育った伊吹和子は24歳の時、下鴨の潺湲亭(せんかんてい)で当時66歳の谷崎潤一郎と会い「潤一郎新譚源氏物語」の原稿の口述筆記者となる。「谷崎源氏」の仕事が終わったあとは、中央公論社の谷崎担当の編集者として引き続き口述筆記に従事し、「瘋癲老人日記」や「夢の浮橋」など、晩年の傑作の誕生の現場に親しく立ち会う。