戦犯として刑死した父の冤罪を晴らすため、現地P――島のジャングルの奥へ入ってゆく、その息子の新聞記者吉田。「玉砕」につぐ「玉砕」、ひとつの島全体が餓える――“餓島”。南海の果て、また戦後の横浜港の氷川丸を発端に、それぞれ独立した空間と時間を生きる海の戦争に関わる登場人物達の生と死の挿話が重なり、大きなうねりとなって、苛酷な戦争の真実を伝えてゆく。歴史に埋もれた死者を悼む16の短篇。