椎葉幹央は大学院に籍を置く学生、5歳の時母をなくし16歳の時父と死別、以来1人で生きている。学位論文を書くために山の宿に籠るが、そこで奇妙な女性と出遇う。彼女は彼のアパートについて来、住みついてしまう。他を拒否する〈個〉が互いを侵蝕することなく〈孤〉のまま如何に関わるかを鋭利にみずみずしく捉え、生の深淵に迫る力作長篇。泉鏡花賞受賞。