高名な詩人の娘嫩は、「B29機帝都に侵入す」る戦時下、手縫いのワンピースを着、男の田舎の神社で式を挙げるが、初めの日から「真面目な人」のはずの夫と行き違う。互いに傷つけあい、ささくれ立った年月の末、不妊手術をし、戦後に離婚、自立するまでのアパート「木馬館」での生活。「蕁麻の家」に続く、自伝的長篇3部作の第2篇。