命がけの恋の世界を歌い、あまりにも有名な『殉情詩集』。人口に膾炙する「秋刀魚の歌」を所収の『我が一九二二年』。強い反俗的批評精神が横溢する「愚者の死」等の「初期詩集」。古今東西の詩人のエッセンスを熟知しつつ、あえて古典的韻律にこめた清新な情感と詩の未来を見すえる凄烈な意志。 多くの抒情詩と一線を画する“佐藤春夫の詩”の出発点から大正15年刊『佐藤春夫詩集』とその「補遺」までを全収録。