「ホトトギス」関係の虚子、坂本四方太らや、帝大の学生たちが漱石の周辺に集りだした明治38年10月、象徴詩の源泉上田敏の訳詩集『海潮音』が刊行。翌39年島村抱月らによる「早稲田文学」が1月再刊。3月、藤村は文学史を画する自然主義小説『破戒』を、独歩は『運命』を刊行。社会主義者の動向、蘆花、小山内薫らの活動等、新時代の到来を告げた。“伊藤文壇史”の真骨頂、日露戦後の多彩な文学世界の展開。