1951年3月、原民喜自殺。死の直前に書かれた『ガリバー旅行記』再話。その第4章馬の国(フウイヌム)は怒りも憎しみも悪もなく、死に悲しみもないユートピア。穏やかな理性の国に唯一、光る石を好み争うことしかしないヤーフと呼ばれる人間に似た卑しい生きものが存在した。1945年8月6日の剥ぎとられた街〈ヒロシマ〉を所有する原民喜の悲痛な『ガリバー旅行記』。