昭和2年7月24日、芥川龍之介自殺。「ぼんやりした不安」を抱え、歪みの只中に向って移行する激動の〈時〉をうけとめた死は、大正文学の終焉を印した。初期「大川の水」「松江印象記」、遺稿「機関車を見ながら」の他「漱石山房の冬」「追憶」「本所両国」「江口渙氏のこと」「学校友だち」「身のまわり」など、知の作家芥川龍之介の内奥の柔らかな心を抽出したエッセイ59篇。