祖父広津柳浪、父和郎、そして桃子。1人きりの兄が病没し、嫁がず、孕まず、“家”が消滅する宿命を担う湘南での日々。名作『一期一会』を残し、孤独な老齢を靭く生きる網野菊へのひとかたならぬ親愛と深い交響の中で生まれる静謐な感動。文学者3代の末、広津桃子の女流文学賞受賞の名品。