ロシアのユダヤ人迫害を逃れ、フランスへ移住した哲学者で、詩人で、祈りの人、ライサ・マリタン。パリでの壮大な精神のドラマ、数々の出会いと友情──哲学者ベルクソン、画家ルオー、作家レオン・ブロワ。科学的実証主義万能の時代、人間存在の根源は何かをひたすら求め彷徨う、深く澄んだ魂をもつ1人の女性が、半生を回顧し、その懊悩(おうのう)の軌跡を美しい詩的文章で綴る。