ドイツの経済学者ジンガーは、昭和6年に来日し、東大等で政治経済学を講じた。日本の風習と文化に深く心惹かれたジンガーは、日本人の心の深層に残る民族的遺産として三種の神器に着目し、鏡・剣・勾玉を正義・英知・敬虔という日本人の徳目の象徴と捉えた。中国と日本の生活観・芸術観を西洋人の立場から比較し、〈日本的なもの〉の本質を考察するなど、今なお新鮮さを失わない日本文化論の名著。