内容紹介
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目次
- ・ひた走るわが道暗ししんしんと堪(こら)へかねたるわが道くらし(悲報來)
- ・ほのぼのとおのれ光りてながたれる螢を殺すわが道くらし(同前)
- ・氷きるをとこの口のたばこの火赤かりければ見て走りたり(同前)
- ・赤彦と赤彦が妻吾(あ)に寢よと蚤とり粉を呉れにけらずや(同前)
- ・罌粟(けし)はたの向うに湖(うみ)の光りたる信濃のくにに目ざめけるかも(同前)
- ・鳳仙花城(しろ)あとに散り散りたまる夕かたまけて忍び逢ひたれ(屋上の右)
- ・天そそる山のまほらに夕よどむ光りのなかに抱きけるかも(同前)
- ・屋根にゐて微(かそ)けき憂(うれい)湧きにけり目(ま)したの街のなりはひの見ゆ(同前)
- ・めん鶏(どり)ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人(かみそりとぎ)は過ぎ行きにけり(七月二十三日)
- ・たたかひは上海に起り居たりけり鳳仙花紅く散りゐたりけり(同前) ほか