度重なる不幸な歴史の故に、ともすれば憎悪と差別の応酬のみが目立つ日本──韓国・朝鮮関係にも、信頼と尊敬の通い合う友好の時代があった。江戸期260年。徳川将軍の代がわりごとに、都合12回、朝鮮王朝は総勢500人におよぶ大使節団を派遣し両国の親善を寿(ことほ)いだ。対馬藩儒官雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の「誠信外交」に代表される親交の歴史を発掘し、明治以来の差別と排除のイデオロギーに事実をもって反証する。