俳諧は最小の詩型の中にこの世、この宇宙の森羅万象を映し出し、封じ込める秘法に他ならない。最小の宇宙の中に最大の宇宙をつかみ取るのである。それが達成された時、最小と最大は対応しあう……。芭蕉の言語空間と精神世界の究極を探るキーワードを、大宇宙に対応するミクロコスモス(小宇宙)に求め、「おくのほそ道」「七部集」等の諸作の深部にクリティカルに迫り、新しい芭蕉像を創造した力作評論。