心に重い問題を抱え、精神的な健康と不健康の境界線上をさまよう人びとが増えている。苦悩を乗りこえ、健常な生活へと帰還する道しるべを提供する。
“境界不鮮明社会”の病理――最近の目まぐるしく変化する社会では、大人と子供、男性と女性、世代間の境界、社会的な役割、仕事と遊び、そして季節や昼夜など、ありとあらゆる面で”境界の不鮮明化”が起こり、正常と異常の区別がわからなくなっている。そのために、異常現象や心の病気が急激に増えているのである。こういう正常と異常のはざまについては、これまでにもたびたび論じられ、まさに20世紀後半における精神医学の中心テーマとなっていた。そこで、本書では、原点に戻って、現象的にも、病理的にも共通する「境界線」という視点を導入することで、正常と異常のはぎまを総括的に理解し、それぞれにある微妙な鑑別点や、本来の発達をベースとする治療的アプローチ、家族や周囲の者の留意点などについて述ベてみた。――本書より
+ もっとみる